急性胆のう炎とは
急性胆のう炎の概要
急性胆のう炎とは胆のうに炎症が生じた状態です。胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していきます。症状は初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になります。
急性胆のう炎の原因
急性胆のう炎は胆のう結石が胆のうにはさまり、胆のうと胆管をつないでいる胆のう管が詰まってしまうことによって起こることがほとんどです(図1)。そのほかの原因には、胆管の奇型や捻転、胆のうと隣り合う臓器の炎症や腫瘍による胆のう管の圧迫、寄生虫が胆管や胆のうにもぐりこむことなどがあげられます。しかし、胆のう管が詰まってしまうだけでは急性胆のう炎は起こりにくく、詰まってしまうことに加えて胆汁に細菌が感染したり、胆のう内に膵液が逆流したりすることにより、胆のう炎が引き起こされると考えられています。
【図1】
急性胆のう炎の診断
胆のう炎は、腹部超音波検査や腹部CT検査などと採血検査によって診断されます。採血検査で白血球数の増多、C反応性蛋白(CRP)陽性というような炎症反応が陽性になり、腹部超音波検査やCTでは胆のうの腫れや胆のうの壁の厚みが観察されることなどが診断の決め手になります。
急性胆のう炎の治療
検査結果と症状を総合して急性胆のう炎の診断と重症度が判定され、重症度に応じて治療が行われます。初期治療の後に胆のう摘出術が行われますが、緊急手術や緊急ドレナージ術が行われることもあります。初期治療としては、絶食と輸液、抗菌薬や鎮痛剤の投与などがあります。急性胆のう炎に対する胆のう摘出術は、症状が起こってからなるべく早い時期に手術を行うこと(早期手術)が推奨されていますが、重症度や合併する病気などの理由により、症状が軽快してから待期的に手術を行うこともあります。手術は腹腔鏡下手術または開腹手術による胆のう摘出術です。
急性胆管炎とは
急性胆管炎の概要
胆管は胆汁が流れる管で、肝臓から分泌された胆汁を十二指腸に運ぶ役割をしていますが、胆管に感染が生じた状態が急性胆管炎と呼ばれます(図1)。急性胆管炎が起こると、発熱し黄疸が出現し、右季肋部痛がおこります。症状が進行すると、意識が混濁したりショック状態になることもあります。
【図1】
急性胆管炎の原因
急性胆管炎は、胆汁の細菌感染に加えて、胆汁がうっ滞して胆管内の圧力が上がることの両方がそろったときに起こります。胆汁のうっ滞の原因には、総胆管結石、肝内結石、良性胆管狭窄のほか、胆管癌、乳頭部癌、膵頭部癌などの悪性疾患があります。
急性胆管炎の診断
胆管炎は39℃以上の高熱と黄疸、右上腹部痛のような症状に加えて、血液検査と腹部CT検査・腹部超音波検査によって診断されます。血液検査で白血球数の増多、肝機能異常、高ビリルビン血症が認められ、CT・超音波検査では胆管が拡張していたり、胆管結石が認められたりすると、急性胆管炎と診断できます。
急性胆管炎の治療
急性胆管炎の初期治療は絶食・輸液、抗菌薬投与、鎮痛薬投与で、これらに加えて胆道ドレナージが推奨されています。重症化してショック状態になったり、肝障害が強くなったりした場合には、緊急の胆道ドレナージが行われます。胆道ドレナージは、うっ滞している胆管の胆汁を体外に排出させる方法で、内視鏡を用いて(内視鏡的ドレナージ)行われますが、その他に体表から針を肝臓に刺して行う経皮経肝胆管ドレナージや、きわめてまれですが開腹手術によるドレナージがあります。