■書類審査委員会からのお知らせ■
- 2025年1月の書類審査より、提出された書類に不備があった場合は不合格となります。不足している書類を事務局から督促することはありません。
- いかなる理由があっても、参加登録・ファイルアップロードの遅延は一切認めません(災害などの場合は、その都度事務局にご相談ください)。
- 病変の状況から考えて、術式の正当性に問題があると思われる症例が散見されます(転移性肝腫瘍の亜区域切除、過剰・不必要と思われる肝葉切除など)。倫理的に問題があると判断された場合、それだけで不合格となることがあります。術式選択の理由を明記するようにしてください。
参考手術記録
この手術記録はあくまで一例であり、この手本通りの記載が必要という訳ではなく、書類審査はあくまで委員会の判断で行われます。
注意事項
- 高度技能専門医申請に必要な高難度肝胆膵外科手術実績の有効期間について
高度技能医修練施設認定が開始されたのは2008年6月1日ですので、2008年5月31日以前の症例は手術実績としてカウントされません。手術実績として申請する症例は、必ず2008年6月1日以降の修練期間開始後に施行した症例を提出してください。また、手術に参加する指導者(高度技能専門医・指導医)についても認定期間内である必要がありますので、認定日および失効日に注意してください。なお、高度技能専門医申請のための修練期間中は、修練施設に常勤している必要があります。
- 参加登録画面および申請書類への修練歴の記載方法について
修練期間、修練施設名および期間をすべて記載してください。
ただし、指導医欄へ記載する指導医は1名のみで問題ありませんが、1名しかいない指導医が異動などの理由により変更となっている場合は、修練施設1、修練施設2に分けて入力をしてください。 - 高難度肝胆膵外科手術について
高度技能専門医申請に使用できる症例は、原則として細則第8条1)に規定されている高難度肝胆膵外科手術のみです。
上記以外に、高難度と思われる症例がある場合は審査時に判断しますので、高難度であることが証明可能な手術記録(写)と共に提出してください。
なお、肝移植レシピエント手術については、血管再建のみ行った場合は高難度肝胆膵外科手術とは認めず、主体的に全ての工程を行った手術のみ高難度肝胆膵外科手術として認めます。また、肝移植ドナーの肝切除については、脳死ドナーの場合でも、主体的に行っていれば認めることとします。 - 手術記録の記載について【重要】
術者として申請する症例の手術記録は、申請者自身の記載が必要です。以下の内容は記載が必須であり、一部でも記載が無い場合は症例として認められません。箇条書きなどで、わかりやすく記載してください。(*は2024年8月1日以降の症例)
1)手術適応となった経緯 *
2)術式選択の理由 *
3)肝切除症例では、術前残肝機能評価の方法と結果 *(残肝機能評価を行わなかった場合は、その理由を明記してください)
4)手術終了時の腫瘍進行度(TNM分類, Stage)*(取扱い規約に準じて記載)
5)手術所見の文章
6)手術所見のスケッチ(写真だけは不可)
2017年1月1日以降の手術記録(写)については、スケッチも必ず術者が記載してください。スケッチについては少なくとも手術開始時の腹腔内の所見、途中経過、再建図(再建が無い場合は切除終了図)を必ず記載してください。術前・術中の全てのスケッチにおいて、腫瘍の位置を透見図として記載してください。これらに加え、より詳細に記載することが望ましいです。スケッチの数が充分ではないために不合格となることがあります。
(2024年8月1日以降の症例)
・肝切除の場合は以下の5種類のスケッチを必須とし、より多くのスケッチの記載が望ましいです。術前・術中の全てのスケッチにおいて、腫瘍の位置を透見図として記載してください(②と③、④と⑤は同一スケッチに併記しても可)。
①術前のPlanningの図(切離予定線の記載が必要)
②手術開始時の腹腔内の所見
③術中の脈管(肝動脈、門脈、胆管、肝静脈)処理の図
④標本摘出後の肝切離面の状況を示した図
⑤腹腔内におけるドレーン位置を示した図(ドレーンが無い場合はそのように明記する)
・膵頭十二指腸切除の場合は以下の5種類のスケッチを必須とし、より多くのスケッチの記載が望ましいです。術前・術中の全てのスケッチにおいて、腫瘍の位置を透見図として記載してください(②と③、④と⑤は同一スケッチに併記しても可)。
①術前のPlanningの図(切離予定線の記載が必要)
②手術開始時の腹腔内の所見
③術中の脈管(胃十二指腸動脈、胆管、下膵十二指腸動脈)処理の図
④再建図
⑤腹腔内におけるドレーン位置を示した図(ドレーンが無い場合はそのように明記する) - 手術記録(写)提出に関する注意点
1)手術記録(写)は各施設のカルテに記録された手術記録のコピーを提出してください。手術記録の内容を変更する場合は、その施設が認める方法にてカルテを変更し、そのコピーを提出してください。その場合、必ず変更内容がわかる方法で手術記録を修正、提出してください。なお、変更箇所をカルテに含めることができない場合は、個人保管のスケッチを、昨年申請したカルテに追加して提出してください。また、1度目の書類審査で症例として認められなかったと思われる症例についても2度目以降の申請で削除せず、再度提出してください。
手術記録(写)に病院名が記載されていなかったり、Word形式で提出されたりしている場合には、症例として認められないことや、サイトビジットの対象となることがあります。
2)術者として申請する症例の手術記録(写)には、術者欄の筆頭に申請者の名前が必要です。やむを得ず複数術者が担当し、手術記録に複数の術者名が記載されている場合は、申請者以外の術者の担当箇所を申請書類内の指定用紙に記載して提出してください。なお、高度技能専門医新規申請において、術者は手術名に示された手術の主要部分を実際に行っている必要がありますので、注意してください。
3)2012年以降の症例において、スケッチが添付されておらず、ビデオからキャプチャーのみ添付された手術記録(写)については症例として認められません。手術所見の文章が無い場合や極めて少ない場合も、症例として認められません。
4)Illustratorやペンタブレットでのデジタル作画は認められますが、腫瘍の位置や解剖学的情報などはコピーせず必ず症例固有の情報を記載してください。ほぼすべての症例において同じようなスケッチとなっていた場合は、その全ての症例を認めません。
5)電子カルテの打ち出し設定の問題のためか、提出された手術記録の文章が途中で切れていたり、手術記録に手術日、出血量、手術時間の記載がなかったりする場合は症例として認められないので、電子カルテを打ち出す際は注意してください。
6)電子カルテに取り込んだスケッチやシェーマについて、サムネイル表示のみの場合、内容の判断ができず、スケッチとして認められず対象症例とならない場合があります。サムネイル表示されている画像と同じスケッチやシェーマの原本のコピーを必ず一緒に提出してください。
7)英語手術記録と日本語手術記録の両方を記載する場合は、どちらかを術者(申請者)が記載していればよいこととします。その場合は、記載者を明記してください。術者が記載した手術記録の内容を審査しますが、術者が記載していないほうの手術記録の内容は審査しません。両方とも術者が記載した場合は、日本語手術記録を審査対象とします。
8)手術記録(写)の提出にあたっては、細則第16条を必ず確認してください。 - 肝亜区域切除症例を提出する場合の注意点
1)肝亜区域切除症例において、手術所見・手術スケッチ・切除後の術中写真などから、肝亜区域切除として認められない症例が多く存在します。肝亜区域切除の場合以下の点に注意してください。
・亜区域グリソン枝を(あるいはグリソン枝穿刺染色)処理後に、亜区域に相当する阻血(または染色)領域を切除したことがわかる手術所見・スケッチ・切除後の術中写真をつけて下さい。
・亜区域切除症例に添付する術中写真について、写真が小さい、不鮮明などの理由で内容が判別できない場合には、術中写真として認められず、症例としても認められません。
・以前にS2亜区域切除がなされている場合のS3亜区域切除など、非定型的な切除は高難度手術症例としては認められません。
2)拡大肝右葉切除・拡大肝左葉切除は、書類審査としては高難度手術としてカウントしますが、inflowやoutflowの脈管の確保、切離ラインをどうきめたか、など手術記録に記載する必要があります。この記載が不十分な場合は、症例として認められません。なお、拡大肝葉切除は、肝静脈露出の工程が少ないため、ビデオ審査症例としては適切でないと判断され認められない場合があります。
過去の非認定理由
- 修練期間外の症例が含まれており、規定の症例数を満たさないため。
- スケッチの記載内容が乏しいため。
- スケッチの数が足りないため。
- 手術記録(写)の記載内容が写真をメインとして構成されており、切除時の所見が写真のみでコメントがない場合もあるなど、十分な記載がされていないため。
- スケッチに腫瘍の位置や、切離位置、血管の位置など固有の情報が記載されていないため。
- 複数の症例においてスケッチの内容が同一のものであると判断されたため。
- 膵体尾部切除術でD2郭清がされているかどうか記載が無い症例が認められ症例としてカウントされず規定の症例数を満たさないため。
- 提出された手術記録(写)が実際に使用されているカルテの写しであるか否かの判断ができなかったため、症例としてカウントされず規定の症例数を満たさないため。
- 手術記録(写)の内容が不足しており、高難度肝胆膵外科手術であるか否かの判断ができなかったため、症例としてカウントされず規定の症例数を満たさないため。
- 手術の適応、術式の決定についての術前評価の記載が無く、本術式の適応が正当なのかどうかの判断ができない。また、手術適応に問題があると判断された症例が複数有り、規定の症例数を満たさないため。
- 胆嚢胆管切除+胆管消化管吻合(先天性胆道拡張症に対するもののみ)を施行したとして提出された症例において、先天性胆道拡張症との診断が明記されていないため高難度肝胆膵外科手術として認められず、症例としてカウントされず規定の症例数を満たさないため。
- 死亡例数および死亡症例の内容から、また手術時間や出血量などの手術成績から、手術のクオリティが高度技能専門医としてふさわしくないと判断されたため。
- 手術記録(写)の記載内容(クォリティ)が高度技能専門医としてふさわしくないと判断されたため。